放ったばかりの精に下腹を汚し、苦しげな呼吸に胸を上下させているにもかかわらず、潤のそこはまだ硬度を失っていなかった。 「満足はしていないみたいだねぇ、潤?」 言いつつ吉広はからかうように潤の胸のあたりを指でつついた。 「あ……っ」 ぴくり、体を揺らすのを横目で見つつ、ゆっくりと残りの着衣を脱いでいく。 まだ胸を喘がせている潤は気づきもしなかった。 「ほら」 吐精したばかりの敏感な中心を温かい掌で包み込まれ 「ひぃあっ」 思わず声があがり。 「あ」 そうしてようやく吉広の姿に、気づく。 「準備は、お前がするんだろう?」 にやり、笑った顔に久しぶりに鳥肌が立った。 前のように恐かったわけではなく、ただなぜか。 そして命じられもせず、考えもせずに潤の体は動いた。 吉広のほうへと。 「ふ……ぅ」 腰を降ろしたまま軽く足を広げた吉広の、その足の間にもぐりこみ。 ぴちゃり。 柔らかい部分を舐めた。 かすかに頭上で声が聞こえる。 それに気をよくして縫い合わせたような場所にも舌を。今度は舌先に力をいれて強く舐め上げる。 「……ん」 抑え気味の声が聞こえ、髪に指が絡ませられた。 それが、心地いい。 ひんやりとさえしているその部分から舌を離し、熱い、中心へ。 唇で下から上へとそれをたどれば、ぞくりと背中が粟立つ。 「……んっ」 思わず声が漏れた。 「ふん」 頭の上で吉広が笑った気がする。 「いつまでそうしてる?」 唇をただ中心に沿わせていただけの潤に吉広は嘲笑めいた声を浴びせ。 ひとつ息を吸い込み。 中心を口の中に含んだ。 熱い。 「そんなにいきなりしちゃあ、ねぇ」 決心して導きいれたのに髪に絡ませた指で強引に頭を持っていかれた。 「なっ」 不満に彼の顔を見上げれば酷薄そうな、笑み。 「……ゆっくりするんだ」 そう言って髪を離した。 一度知った、あの熱さ。口の中とは言え、他人の体温を体内で感じた、その感覚。 潤はごくり、唾を飲む。 舌先を伸ばし先端に這わせる。 柔らかく広げたままの舌でそっと愛撫する。 「どうしたらいいか、わかるだろう?」 上目遣いで言葉にうなずき、固くした舌で、先のくぼみをつついた。 水を飲む猫のようにぴちゃぴちゃと、そこを。 「それから?」 あまりの従順さに、嗤い声。 少し悔しくて潤は閉ざした唇を先端にあて、自らは口を開けることなく下に向かって力を入れる。 強引に、侵入させる。 ぬたり。柔らかい先の部分が這入ってきたとき、さすがに吉広も少しばかりの声を上げた。 「ん」 唇に敏感な部分を挟んでいる。 その感触が快くてなにをされているわけでもないのに潤は鼻にかかった声を上げ。 「そのまま、唇を動かしてごらん」 声に、ただ従った。 熱におかしくなりかけているからか。 「これが欲しい」 ただその思いだけが強く、より強くなっていく。 言われたままに唇をうごめかせ。 「は……ぁ」 知らず頭までもが動いている。 もっと欲しい。 ゆっくりと飲み込む。 途中で止め、舌で吉広の中心を、口の中のモノをなぞる。 「教えてもいないのに上手な事だ」 嗤われている。 欲情に忠実に動き始めている体を、嗤われている。 それが体を熱くさせた。 「咥えてるだけでこんなに悦んで……いやらしいねぇ、潤」 驚いて目をやれば自分の中心から、流れ出す液。 透明な液がたらたらと、滴っている。 「男のモノを咥えて、気持ちイイんだろう?」 初めてのこと、初めての感覚に自分を取り戻すのが遅れ、言われたままに肯いた。 「ちゃんと口で言うんだな」 言いつつ髪に指が絡まり弄ばれ。 「それとも」 なにを言うかと、思わず顔を上げた潤に吉広の細めた目が。 「咥えたまま離したくないかねぇ?」 かっと頬に血が上った。 つ、と指で口元をなぞられ、それでもまだ中心を含んでいた事に気づかされ、体中が羞恥に染まる。 「さぁ、潤?」 唇からそれを離せば、言わなければならない。 口にしたままでいればそれもまた恥ずかしい。 どちらを選んでも、堪えがたかった。 「さぁ」 哀願するように、舌でちろり、感じ易い部分を舐めてみる。 「どうするんだ」 冷たい声がふってきただけだった。 「……ちい」 「聞こえないね」 「きも、ちい」 「ほぅ、もう一度?」 からかう声。伏せた目をきっと上げ吉広の目を見てもう一度、言う。 「アンタの舐めんの、気持ちイイっ」 「よく出来たねぇ」 さらり、彼の指の間で髪が滑らせられ、その感覚さえ、気持ちよかった。 再び目を伏せ、唇の奥に導く。 熱いモノ。これがここではない体内へ。そう思うだけでぞくぞくした。 「目を上げてごらん」 ぴく、と動きが停まる。 口に男のモノを含んだまま、情欲にゆがんだ顔を上げろ、と吉広は言う。 「夢中で舐めてる顔を見せるんだよ、潤」 否応のない声。 逆らえるはずもなく、顔を上げた。 自棄になってじっと彼の目を見たまま、舌を使う。 唇でしごき上げ、柔らかい舌でねぶる。 どくん。 唇の中のものが弾んだ。 「ふ……ぁっ」 反応する中心の熱さに声を上げ、また唇で締め上げ。 「……く」 辛そうな、声、寄せた眉根。 「イイ?」 思わず、訊いた。 答はなく、痛くはない力で髪をつかまれた。 「……しっかり、濡らしておくんだね。つらいのは、お前だよ、潤」 負け惜しみのような調子が妙に嬉しくもあり、潤は唇を離し先端に音を立ててくちづけた。 伸ばした舌で熱いそれに水分をまとわせていく。 じっと吉広の目を見たまま。 根元から這い上がり、先までゆっくりと。 中心が吐き出す透明な粘液と潤が滴らせていく水分でいやらしい。 「……まだ、だめ?」 見ているうちに欲情が堪えがたくなっている。 「ちゃんと言うんだな」 理性を回復したらしい吉広の相変わらずの冷たい声音に、従わないわけはなかった。 「アンタのこれが、欲しい」 そう、掌に包み込む。濡れた中心を手で支え、唇に持っていく、そんな挑発。 「どこに?」 あっさりかわされた。 「どっ……どこって……っ」 「言わなきゃわからないね」 潤の頭の中に言葉が駆け巡る。 言えようはずもない。 潤は横たえていた体を起こし少しばかり開いた足の間に手をあてる。 「……こ、ここに、欲しッ」 「見えないね」 全身に血がのぼる。 羞恥に、どくどくと自分の中心が脈打っているのに気づいて、さらに羞恥は深まった。 「いらないの、潤?」 嗤いながら体を離そうとする吉広の手をとっさにつかんだ。 「欲しいなら、どうして欲しいか言うんだね」 言葉に。 自らの両手で足を押し広げ、ソコを吉広の目に晒す。 吉広の指で慣らされたソコは物欲しげにひくついていた。 「……はぁっ」 見られている。 言わされる。 どくん、弾んだ中心から滴がたれた。 「ここに、挿れてッ」 |