迂回した先はのどかな道だった。
これならば狼もやっては来ないだろう。
柔らかい草にはそれにふさわしい可愛らしい花が咲いている。
と思えば、ありえない形をした木にまるで紐のように細くしなやかな蔦が絡みつき、ちいさな赤い実をつけていたりもする。
ちりりん。
鈴の音がすると見渡せば、鳴っているのはその赤い実だった。
ここならば少し休んでも大丈夫そうだ。
安全そうに見える木に背中をもたらせかけて座る。
と、物音が聞こえた。
のぞく