ため息。衣擦れ。秘めやかな、喘ぎ。 聞こえてくる声をのぞいて見ればそこには滑らかな肌を晒した青年の姿。 触れれば吸い付くような肌は透けるように白く、肢体はあくまでもほっそりとした。 が。 美しく肩のあたりで切りそろえられた黒髪のその間からは「人」にはないものが。 白い耳だった。彼の肢体のようにしなやかで白い耳。長く柔らかな耳、兎の耳。はっと目を移せば確かに腰のあたりには兎の尾があった。 この森に棲む生き物、人ではない生き物に間違いはなかった。 その彼が無骨な樹木に手をつき、ためらいがちに後ろをふりむいている。 肌はほんのりと上気していた。 「銀狼……もう、いい?」 彼は恥ずかしげに唇を噛んでは言う。 そして呼ばれた男が彼の背後にいた。 「まだだ」 銀狼。彼は銀の狼、と呼んだ。 けれどそこに立っていたのは銀の狼ではない。冷たい目に獰猛そうな口元の笑み。確かに「人」の姿をとっているのにやはり彼の体にも狼の耳と尾が。 銀、ではなく冬の夜空のような黒。所々に白い毛が混じっている。銀、はあるいは銀河の銀か。 悠然と目の前の青年を見つめる彼もまたなにも身にまとってはいない。 「白兎」 男は彼の名を口に上せ、羞恥に身を震わせる白兎の真後ろへと立つ。 見れば白兎の腕は樹木に縛められていた。 「……あ」 銀狼がその指先で白兎の背中をそっと撫でる。 「やめ……」 かすかに身をよじり白兎はわずかばかりの抵抗を示す。 「暴れると傷がつく」 言っては再び背を撫でる。 今度は白い背中のうっすらと赤い線が浮いた。 「こんな風に」 血を流したわけではないその痕に銀狼は笑って唇を寄せ。 「んっ」 「ほら、お前だってしたいくせに」 白兎のあげた声に銀狼が笑う。 口を開けて笑えば鋭い牙が見えた。 「だって……」 どうやら最前からなにかを要求されているらしい。 白兎はそれを飲みたくなくて縛められているのか。 「言えよ、白兎」 銀狼は目を細め、そして軽く白兎の首筋に牙をたて。 「んぁっ」 びくり、白兎は身を震わせる。 狼に噛みつかれた兎そのままに。 白い耳は恐れにしなだれ、ひくひくと痙攣さえしている。 それなのに白兎の肌は一層の上気を見せていた。 喉をのけぞらせ、垂れた耳が背中を撫でる。 白兎の中心は確かに透明な粘液を滴らせていた。 「あっ、あぁっ」 銀狼の指が中心の先端に触れる。ほんのわずかに。 「まだ強情張るんだな、白兎」 言っては指で作った円に中心を滑り込ませ、敏感な部分をきゅっと締め付け。 「あっ、だめっ。……だめ」 絶えがたげにふるふると首を振れば黒髪とともに白い耳もゆれる。 「……して。銀狼」 それでもまだ羞恥が勝るのか、首だけを振り向かせて言った白兎の目にはうっすらと涙が浮かんでいる。 肌とともに赤く染まった唇は軽く開いて濡れた舌先がのぞき。 銀狼でなくとも獣欲が煽られる眺めだった。 「とっとと言えばもっと早く楽にしてやったのに」 くっとのどの奥で笑った銀狼は背後に立ったまま白兎の唇を奪う。 不自由な姿勢に苦しげにうめく白兎はけれどそれ以上に熱心に舌を絡めあわせている。 「は……っ」 唇を離して喘いだのは銀狼の指のせい。 後ろから抱えこむように胸の突起を摘み上げていた。 「銀……狼……っ」 無意識に腰を後ろの銀狼にこすりつけ、そして一瞬硬直する。 「どうした。白兎?」 声が笑っている。 銀狼は猛った物に擦りつけられる白兎の肌の滑らかさ、柔らかい尾の感触を楽しんでいた。 その猛った中心の熱さに白兎は体を固くしたのだった。 「あ……」 恥ずかしげに目元を染めては再び腰をうごめかせる。 「どうしたんだよ、白兎」 やはり声は笑っていた。 その笑い声とともに腕を縛めていた蔓がはらり、解ける。 何度も繰り返されてきた「行為」に白兎は手で顔を被い首を振る。 ずらした手の隙間から銀狼を見ても彼は面白いものでも見るようにその尾を揺らしているだけだった。 おずおずと白兎は草地に膝をつき、腕をつく。四つんばいの格好からそのまま肩をついては腕を後ろにまわした。 己の双丘に手をかけ、そのまましばしためらう。 目はじっと銀狼を見たままだった。 「白兎」 猫なで声で名を呼んで、頬にかかった黒髪をそっと払った。 それから 「これでよく顔がみえる」 とでも言うように口元が笑う。 それに白兎は頬を染め、羞恥から逃れるように目を閉じて言った。 「……見て」 双丘にかけられた手に少しばかり力がこもっては押し広げようとする。 「そんなんじゃ見えねぇよ」 すげなく言って銀狼は白兎の手の上に手を重ねてはぐっと押し広げた。 「あぁ……っ、いや……いやっ。見ないでっ」 「見ろって言ったのはお前だろ」 楽しげに耳をうごめかせた銀狼が双丘に顔を寄せれば恥ずかしさに身悶えして抵抗する。 それを押し止めて双丘の片方に牙を立てた。 「ん……あ……っ」 ぴくり、背が反り返り、その刺激が決して不快ではなかったことを示す。 「ここに欲しいんだろ」 前にまわした掌で白兎の中心を包み込んでしごき上げれば、わけもわからずがくがくと肯いていた。 ぬちゃり。 中心から滴った粘液でいやらしい音が響く。 「こんなにしてるんだもんな」 耳元でわざと聞かせて銀狼は残る片手で白兎の後ろにそっと触れ。 「ひゃっ」 中心の粘液をこすりつけられて後ろをゆっくりと指で撫でられる。 「そんな……しちゃ、でちゃ……う……っ」 つぷり。 銀狼の指が埋まりはじめた。 「……欲しいッ」 堪えきれずに白兎は喘ぎ。 「じゃあ挿れてやる」 それを待っていたかのように銀狼が笑った。 するりと銀狼が離れ再び背中側に座り込む。 その手には赤い実をつけた細い蔦。器用にそれを白兎の尾の付け根に結びつけ。 「なに……銀狼……」 「鈴の実」 「えっ、や……」 抵抗しようと体を動かせばちりん、澄んだ音が響いた。 「あっ」 戸惑う間もなく後ろにあてがわれた物。 「なに……」 「欲しいって言っただろ」 言ってはするり豊かな尾で白兎の足を撫で上げる。 銀狼の手にあったのはのような植物。いずれこの森のこと、外界の植物のようであってそうではない。 銀狼の爪がの先端に添えられてそっと引くと、それはぬめぬめと光る粘液を染み出させた。 「銀狼、やめ……あぁっ」 最後まで言わせずに銀狼はを白兎の後ろに押し付けた。 「あっあっ」 短い喘ぎをあげる白兎の体にふるえに従ってちりんちりん、鈴の実が鳴る。 「いや……っ」 首を振っても勢いのついた鈴の実は鳴った。 「あぁ……」 羞恥を諦めるようについたため息。それを狙っていたかのように銀狼はをぐい、と押し込んでいた。 「あぁ……っ!」 光る粘液が助けになってはずぷりと奥まで侵入している。 銀狼の爪がを弾けば反動でゆれ。 「あっく……」 白兎の白い、けれど今は上気し尽くした双丘の間からぬらぬらとしたがのぞいている。 の吐き出した粘液は滴り滴っては白兎の内腿までをも濡らしていた。 「自分で動かして見せろよ」 「え……」 「できない?」 「……見るの?」 「たっぷりと」 銀狼が笑う。 「あ」 それに一層、頬を染めた白兎。うなだれた耳が顔を隠すように垂れ下がる。 「顔も見せろよ」 ぴくん。耳が跳ね上がり、潤んだ目の哀願を見せたけれど銀狼は笑ったまま黙殺した。 おずおずと手がにかかる。 片手で双丘を押さえ、片手がをつかむ。 指が尾に触れ、羞恥に震えた尾からは鈴の音。 「あぁ……」 ぬちゃり。 粘液が白兎の後ろで淫靡な音を立て。 「んっ」 ゆっくりと自分の手で、自分の体に埋められた植物を動かし、突き立てる。 それをじっと見つめる銀狼の視線を感じないわけにはいかなかった。 「締め付けてる」 わざと耳元に唇を寄せてささやく銀狼の言葉に体がふるえ。 言葉通りにソコがを締め付けていた。 「ふぁ……っ」 「ヤラシイ、白兎」 笑いを含んだ声が言う。 「だ……って」 言いつつ抜き取り奥まで突き立て。 背を反らし快楽を味わい尽くす。 鈴は絶え間なく鳴っていた。 「あっ……あぁッ」 咥え込んだを深く突き立てるのを見計らって銀狼の手が白兎の中心を嬲る。 指で先端をなぞり段差を刺激する。 「ん……あ、だ……だめッ」 聞かず銀狼はを咥え込んだままの白兎を立たせ、腰を抱く。 最後を求め切なげにふるえる中心に唇を寄せた。 「それを落とすなよ」 そう言うのも忘れずに。 「ひ……あぁぁぁっ」 堅い樹木に背をあずけ、後ろからはを生やしたまま銀狼に中心を咥えられている。 ぴちゃぴちゃと音を立てて吸う。 舌で下からそっと舐め上げる。 「んあぁ……ッ」 身悶えすればするだけ鈴が鳴る。 その音に今なにをしているかを自覚させられ、恥ずかしさに耐えかねてはまた体を震わせた。 銀狼は先端のくぼみを舌でつつき、あげられる悲鳴めいた喘ぎを楽しんだ。 中心の先端からの段差を舌で押しつぶすように愛撫すれば悲鳴さえも途絶えて、白兎の手が銀狼の頭を押さえつけ。 「も……もう……」 聞かず銀狼はさらに白兎のそれを攻め立てる。 手は双丘をゆったり撫で、つかみ。 「あぅ……ッ」 悪戯のようにを引き抜いては突き立てた。 「銀、狼……ッ」 をつかむ手からそれを奪い、引き抜き投げる。 くちゅ。いやらしい音がした。 銀狼の体を振り解くようにして白兎は逃れ、胡座の銀狼にそのまま乗りかかり。 「ほし……いっ」 銀狼の首に腕を巻きつけ、そのまま腰を落とす。 「……あ……くっ」 その白兎の腰を銀狼がつかんでは一気に引き落としていた。 「あぁ……あつ……ッ」 奥まで埋まった銀狼の中心を締め付け、身をよじる。 熱さに、快楽に。 「あっあっあっ」 自ら腰を振り、銀狼の肩にすがって貪った。 激しく鳴り続ける鈴の音がさらに悦楽を煽っている。 背中に垂れた敏感な耳を撫でれば声はさらに高まり。 「んん……ッ」 深くまで飲み込み、それから己の中心を銀狼の腹にこすりつけ。 「あぅ……っ、もう……もう……」 うわ言めいた喘ぎに首を振る。 「白兎ッ」 腰を押さえつけられ、深く深く突きたてられたそれ。 中で一瞬ふくらみ、そしてびくびくとふるえた。 「あぁ……ん……あッ。イク……イクぅ……ッ!」 熱い粘液が内壁にぶつかりはじける感覚に、白兎もまた最後の波に飲まれていた。 腹に、内腿に、白い粘液を滴らせたままの白兎の体を銀狼は抱き上げ。 まだ尾につけたままの鈴の実を解いては放り投げる。 ぐったりと意識を失ったままの白兎の体を抱いて銀狼は歩み去る。楽しげに耳をうごめかし、ゆらゆら尾を揺らし。 投げられた鈴の実は、知らず入り込んだ迷い人の手の中、偶然に落ちていた。 End 入り口へ
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