なにかに誘われるように森に足を踏み入れればそこは。
深々と、音さえも吸い取るほどに深い森だった。
奥に入れば入るほど、見た事も聞いたこともない形の植物が生い茂っている。
樫の木かと見ればその梢に百合のような花が咲き、香りは水仙。
あるいは。
可憐なすずらんと見えた花は舞い降りたこれも夢のように色をした蝶に突然、獰猛に襲い掛かり喰い散らかす。
この世のほかの森だった。

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