道を外れればそこは鬱蒼と繁った蔦に覆われていた。
 肌に粟立つものを覚えて引き返そうとする。
 が。
 道がなくなっている。
 息を飲み慌てて周りを確かめれば。
 蔦が動いていた。
「え……」
 その驚きの声が聞こえたのか蔦がいっせいに動き出す。
 ぬめぬめと先端から粘液を滴らせた蔦が自分めがけて殺到するのを呆然と見、はたと正気づいて逃げだそうと動かした足にはや最初の蔦が、絡まった。
 ぬたり。
 捉えられた足に奇妙な感触が走る。
 振り払おうと蹴り上げた足はすぐ別の蔦に絡みつかれ、反対の足にも蔦が這い上がる。
 悲鳴をあげようとした唇を蔦が狙い、恐怖に手で払い飛ばせばその手も捉えられ。
 いつのまにか服の中にまで這入り込んだ蔦はすでにその粘液で肌を汚しはじめている。
 逃げだそうにも体中を拘束され、そこから先に進む事はできなかった。


蔦bad

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